【NewsLetter193】薬物依存症のアキラ

こんにちは。薬物依存症のアキラです。

久しぶりにニューズレターを書かせていただきますが、ご報告があります。

先日、5月のゴールデンウイーク中にめでたく、スリップいたしました。

2か月経った現在、ようやく、「めでたく」言えるようになりましたが、スリップ直後はリュックに荷物をパンパンに詰めて施設を出る準備をしたり、仲間に邪気をまわしたり等、本当に苦しい日々が続きました。

スリップの前、僕は病院で処方されていた睡眠薬を減らしており、完全に断つ前に2日に1度だけ飲むという状態でした。

そして僕の中に、ある考えが浮かんできたのです。調子が良い時なら飲まなくても寝られるのではないか?と。

今思えば、この時から僕のリラプスは始まっていたのです。自分が薬物依存症であるという事実を忘れ、自分の考えを使い、スリップの危険に近づいていました。

当時の僕は、ハウスリーダーという役割をさせてもらっていましたが、自分1人で回復しているような気分で、仲間に助けを求めることや、感謝の気持ちを忘れており、高慢になっていました。

完全にステップ1が抜けていたのです。自分以外の仲間を自分の勝手な物差しに当てはめ、少しでもそこから外れていると怒り、裁き、恨んで、そのことをミーティングできちんと卸さずに自分の中に溜め込んでいました。

今はこのように当時を振り返ることが出来ていますが、この時は完全に自分が正しく、周りがみんな間違っていると本当に思っていました。

病気の力って恐ろしいですね。

このように狂気でパンパンに膨れ上がった僕が、自分の考えで溜めていた処方薬を持っていたのだから、それを使うのには少しのきっかけで十分でした。

たまたま少しの時間、1人になったことや、次の日が休日だったこと、施設の代表が県外にいたこと、これらの条件が重なった時、使うのに何の躊躇もありませんでした。

もう少しで2年のクリーンを迎えられるということも、NAのスポンサーや仲間をはじめとした、応援してくれている人々の存在も頭から吹き飛んで、使うこと以外の選択肢はありませんでした。

今回のスリップで学んだ大きな1つとして、このような状況に自分が置かれたら使う以外の行動は取れないいうこと。

おやいや、我慢しろよ、と世間は言いそうですが、それが出来ないのが自分であり、もっと前の段階で回避することが必要なのです。

スリップしたことを仲間の皆が「良かったね」と言ってくれます。最初の頃は、何が良かったのかわかりませんでしたが、今ではプログラムにようやく本腰を入れて向き合うきっかっけと捉えられるようになり、良かったと思うことが出来ます。

まだまだつまづいたり、転んだりするでしょうが、失敗は成功のもと。ポジティブにいきます。

カテゴリー: 193号(2016年9月), ニューズレター タグ: , , パーマリンク