【NewsLetter213】NPO法人九州ダルク代表 大江昌夫

 寒さの中にも春の足音が聞こえてくる今日この頃、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

 世間では年末からインフルエンザが猛威を奮っていますが、九州ダルクでは今年も今のところインフルエンザにかかることなく皆元気に過ごしています。

 新年のご挨拶が遅くなりましたが、旧昨年中は大変お世話になりました。今年もご迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願いいたします。

 そう言っている側からではありますが、今年最初の家族会において、参加されていたご家族や講師として来て頂いた茨城ダルクの岩井さんに対し、私の未熟さゆえ早々に混乱とご迷惑をおかけしてしまう事がありました。大変申し訳ありませんでした。今後こういうことのないよう気をつけていきます。

 人は、自分一人では動く事も食べる事もできない状態で生まれてきます。誰かの手を借りてやっと食べることが出来、歩くことが出来、生きていくことが出来るようになります。

 しかし、生活が当たり前に出来るようになると、自分が誰かに助けられて生きているという事実を忘れてしまいがちです。困ったときは誰かに助けを求めて良いはずなのに、表面に出て来た問題が「薬物」だったためにどう思われるか周囲の目を気にし、失うことを恐れ、誰にも助けを求められず悪循環に身を投じてきました。

 人は助け合うことで存続していて、それが実感できるのは誰かに直接的に助けてもらった時や助けることが出来た時です。

 ダルクに繋がった当時、私は人を信じることができず心を閉ざしていました。しかしダルクの仲間や自助グループの仲間達は隣にいて一緒に歩んでくれたことで、プログラムやミーティング、フェローシップを通して少しずつではありますが、本当の自分の問題とは何か、苦しみや悲しみ生き辛さは何かに気づき、私の内側に希望の光が届き、癒され、今日まで回復の道のりを歩んでくることが出来ました。

 薬物を使っている人や困っている人を自己責任と突き放し見て見ぬふりすることは簡単なことですが、本当に援助の手を差し伸べることは難しいことでしょうか。

 当事者同士が助け合うという治療の価値は、他に比べるものがありません。私がダルクを飛び出し、再使用し震えながら帰ってきた時、仲間はお帰りという言葉と屈託のない笑顔でハグをして温かく迎え入れてくれました。

 私にとって回復の始まりでありターニングポイントになった出来事でした。常に誰かに助けられ支えられているという事実を忘れず、その事に感謝し無償で頂いたギフトを無償で手渡していくだけで私たちの未来は希望に満ち溢れていると信じています。

カテゴリー: 213号(2019年2月), ニューズレター タグ: , パーマリンク