【NewsLetter218】NPO法人九州ダルク代表 大江昌夫

 暦の上ではもう秋とは言え、まだまだ残暑が続いています。皆様におかれましては、お変わりなくお過ごしのこととお喜び申し上げます。また、いつもご支援を賜りまして誠にありがとうございます。

 薬物依存症者のケアに携わってきて思うことは、薬物依存は回復可能な病気です。薬物依存は数々の病気の中の一つです。ただ、他の病気と違うところはこの病気は周囲の人、例えば家族、職場の人、友人、知人な どを好ましくない状態に巻き込むことです。

 そのため薬物依存は社会問題に発展しやすいのです。しかし、病気である以上、回復 の方法がない訳ではなく、自分の力とか意志力に頼ることは全く、違う方法すなわちプログラムに忠実に参加することによって、生き方を根本的に変え、その結果多くの方々が回復しています。

 ここに希望があります。さらに回復した人たちは、依存症に苦しむ仲間のために何らかの形で回復に向けて手を差し伸べています。そして仲間を助ける行為こそ自己本意の古い生き方を捨て、他者に自分を開く新しい生き方の発見であり、その行為自体が彼らを救っていることにもなります。

 シンナー、睡眠薬、覚せい剤、咳止め薬など、薬物依存を引き起こす薬は多数あります。薬物依存は病気の一つだと申し上げましたが、そもそも病気とは何でしょうか?

 たとえば心臓病、癌、アレルギーなどは、人間の意志の力によって治るわけではありません。病気に対して人間の意志のカでは無力です。外からの働きがけや治療によって回復が図られます。

 何かのきっかけで人格的にも意志力においても人一倍抜きん出た人が、一旦、薬物依存になったら、この人の意志力もやはりこの病気に対しては完全に無力なのです。

 人間個人の意志や努力を越えたやり方、ひいては生き方によって回復を目指す必要があります。

 したがって薬物依存症には意志薄弱な人だけがなるという考えは事実誤認であり、多くの誤解を受けていて、回復 が可能な病気であることを広く伝える必要 があります。その活動がダルクの一つです。

 ダルクのメッセージが九州の地に25年前に届き、この福岡で「九州ダルク」として活動が始まり、24年の年月が経ちました。

 昨年九州ダルク24周年記念フォーラムを開催いたしましたが、その際に、九州ダルク発足前の、九州ダルク準備室として1年活動していた分をカウントしてしまい、本来23周年のところを1年間違えて24周年としてしまっておりました。大変申し訳ありません。改めて今年10月26日土曜日に 「九州ダルク24周年記念フォーラム」を開催させていただきたいと存じます。

 皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。

九州ダルク24周年記念フォーラム 詳しくはこちらへ。http://q-darc.com/wp/?p=2028

カテゴリー: 218号(2019年8月) タグ: , パーマリンク