【NewsLetter236】シラフの生き辛さ バス

施設に繋がり7年が経ちました。と言う事は、心の病気との付き合いも7年経つということになります。

この7年の間では色々なことがありました。生活していく中で、新しい仲間がたくさん入ってきました。自分は7年ダルクにいて気づけばサポートされる側から、仲間をサポートする立場になり、いわゆる咲きゆく仲間の一人になっていました。

施設に繋がったばかりの仲間を見ていると、自分が来たばかりの頃が懐かしく思えます。

繋がったばかりの頃は本当に何も考えていませんでした。回復のプログラムに対しての理解も出来ておらず、ここにいたら勝手に良くなるものだと思っていました。

いつも先行く仲間からは「本当に変わる気はあるのか?」と言われていました。最初の4,5年は、正直変わる気がありませんでした。勝手に変わると思い込んでいました。むしろクリーンタイムが長くなればなるほど楽になっていくはずだと、そういう妄想でずっといました。

仲間からは、勢いだけで5年位のクリーンは作れるが、それからが苦しいと聞いていました。その事を聞いた時は想像もできませんでした。ただ生活する、筋トレする、ただ仲間と笑う、ただ楽しむ。自分の好きな事だけは積極的にやり、やりたくない事や苦手な事は避けて生活していました。

薬を使っていた頃と内面では何も変わっていませんでした。ただ薬を使っていないだけ。そんな風なのに薬が止まっている自分に酔って、俺はプログラムをやっていると胸を張っていました。この時はまだ何も分かっていませんでした。そんな生活が何年か続き、ふと苦しいという事に気づきました。

それは薬を使っていた時の方が楽だったと思う程でした。たしかにクリーンではあるが、何か違うという感覚です。それは、生きづらさを完全に認められていないからでした。これだけやって来たという変なプライドが回復の邪魔をしていました。天狗になっていました。

だから自分の失敗で上手く行かなかったり、怒られたりすると、嫌になりました。自分勝手に自分なりのやり方でやってきた結果、事態は上手くいくどころか悪化しました。自分の考えや意思を使う事もそうです。頑張る方向が間違えていました。自分の考えを使うことを頑張っていました。ダルクにいて居場所が与えられて、回復のプログラムを提供されている中で、やるやらないを自分の考えで決めてきた結果が、クリーン7年を迎えても生きづらいという事です。

今もまだ回復の途中で苦しんでいます。そんな簡単には楽にさせてもらえないようです。自分の理想と違って、クリーンが7年あろうがどれだけあろうが、毎度失敗から学ばずやらかしてしまう毎日。自分はそれだけ生きづらさを認め、生き方を変えていくという事を難しく捉えているのだと思います。

仲間は、プログラムはシンプルだと言います。その事に、まだ経験が追いつき理解できるまで時間がかかりそうです。

カテゴリー: 236号(2021年2月), ニューズレター パーマリンク