福岡県精神保健福祉センター 所長 楯林英晴
人が暮らしていく上で助けになるものの一つに、「打ち込めるものがあること」があげられています。それが「好きなもの」や「熱中できるもの」をどのくらい示しているかはわかりませんが、みずからを振り返って見ると、熱狂的になるものがないことが10代、20代の頃の悩みの一つだったことを思い出します。
自分に独自性がないということで心細く思っていました。ただ、そうは言いながら、勉強やスポーツ(部活)、友達、読書などに明け暮れ、20代後半からは仕事に明け暮れてきました。
しなければならないこと、行かなければならない場所があることや、何かに関心を持ち行動することは、我々にとり日々を暮らしやすくするというのは実感としてあります。その上で、していて楽しいこと、気に入った場所などを大事にしつつ、その時その時で人が喜ぶだろうことをしたり、行くと喜ばれる場所に行ったりしたいと思います。
今、私が特に注目しているのは米国野球の大谷翔平選手です。活躍した日にはインターネットでいろいろな記事を1時間でも見ます。こんなにすごい、とかこんなに褒められているというのを飽きもせずに探して読んでいます。
<めったにない才能の人が歴史を作ろうとしているのを見るのは、自分としてもいい経験になるだろう>とか、<ライバルや世間の反応にアメリカと日本で違いはあるのか知る良い材料になる>という言い訳をしつつ、就寝時間を過ぎてもスマホで検索している、という状態は依存とよく似ています。
依存って何でしょうね(「そりゃ依存よ」と一言で片づけられると、ちょっと突き放された感じがします。)。一日中それだけを考えているわけではないけれど一度始めると(検索を)簡単にやめられないというのも依存と同じです。時間の結構な無駄をしつつ、仕事にはそう大きな差し支えなく過ごしているこの頃です。
福岡県精神保健福祉センターは九州ダルクを支援する会の一員です。当センターは毎回違う職員が参加しています。九州ダルクの報告を伺い、現状を検討するほかに、参加者同士が現況を話したりして互いに支えられている場だと感じています。