【NewsLetter276】九州DARCと共に歩んだ30年 美野島司牧センター センター長 コース・マルセル神父

 2024年5月25日の土曜日、私たちは美野島司牧センターの30周年記念を、心をひとつにしてお祝いしました。

 私は30年前の美野島司牧センターに赴任してきたばかりのところに訪れてきた、薬物依存症者のグループ、「DARC」との最初の出会いを、昨日の出来事のように覚えています。

 ある出来事がありました。夜中に大きな笑い声が聞こえて目覚めました。外に出てみると、教会の3階の屋上でダルクの若者がシンナーを吸っていました。

 彼は私を見ると「おれはチョウチョウだ、チョウチョウだ」と叫びながら、下の通りに飛び降りようとしたのを捕まえました。

 このイベントは私にとっての本当の受胎告知でした。

 この中で神の導きを感じて、私が薬物依存症にまったく無知であったにもかかわらず、ダルクの彼らを美野島司牧センターに受け入れることになりました。

 私はそこに、時に私たちの意図しないところへ私たちを導く神の手を見ずにはいられません。

 美野島司牧センターでは、29年前から多くの薬物依存症の方を迎えて、時には、再発や入院、刑務所での生活など、様々な出来事や日常生活の中で喜びや悲しみを分かち合ってきました。

 麻薬と手を切ってから何年か経った記念日を祝う喜び、クリスマスやフォーラムで再会する喜び、また、リハビリ中に私たちのもとを去っていった人たちや、神が再び呼び寄せた人たちの悲しみは、「依存症」という恐ろしい病を私たちに思い起こさせます。

 彼らは美野島から九州各地に広がり、北九州、大分、宮崎、熊本、長崎、佐賀、と自分たちのグループを作り、友人たちが薬物を断ち、社会復帰できるよう助けています。

 そして、タメさん、トキさん、チイさん、リアル、ゴリさんなど、、、洗礼式を受けてイエス・キリストと共に復活し、人生を再スタートしました。

 美野島司牧センターの九州DARCを通して、今日まで大勢の薬物依存症の仲間が新しい人生を始めることができたと思います。来年2025年に九州DARC30周年を迎えます。神様に感謝いたしましょう。

カテゴリー: 276号(2024年6月), ニューズレター パーマリンク