【NewsLetter279】4年のバースデーを迎えて 依存症のノクト

 お酒を飲まない生活が4年も続いているなんて、自分にできるとは想像していませんでした。

 今にして思えば、お酒を飲む事は現実逃避でした。飲んだら人と上手く話せて、行動力も発揮されるし、ポジティブでいられる。つまり「本当の自分」になれると信じていました。

 「本当の自分」でいられないのは環境が悪いからだと思っていたし、家族のせいにしていました。環境が変わって家族と離れたら「本当の自分」でいられる。でも、一人暮らしをするには働かないといけない。働くためにはお酒を飲まないといけない。お酒を飲むためにはお金をなんとかしないといけない。

 結局、お酒抜きでは生活できませんでした。ずっとこのままではいけないと感じながらも、お酒を止める事が出来ませんでした。

 今、施設につながってお酒を飲まなくても日常生活を送れています。今では、昔の自分は、ただ自分のやるべき事、大学の講義、仕事、家の手伝い等をやらないで楽をする言い訳に、周りの環境のせいにしていたのだと分かります。

 自分が間違っている事を認められなかったし、周りの人が正しい指摘をしてくれても受け入れられなかった。

 仲間達と生活をしている中で、自分の間違いを認めたり、出来ない事を認めたり、分かったふりではなく、分からないと正直になることで、「本当の自分」に近づいていくのだと教えてもらいました。12ステップの文献に出てくる表現に、自分は自分が思っている程完璧でもなければ、悪い人間でもない、という言葉があります。

 よく、「自分は分かっている」とやっているつもりになるし、「出来ないといけない、知っていないといけない」と思ってしまいます。実際の現実は、分かったふりをして失敗をしたり、やれるはずの事も自分の感情や人、環境のせいにしてやらずに失敗する事ばかりです。昔のやり方を繰り返してしまっています。

 先日も、怪我の治療で処方された薬を、確認せずに1錠多く飲んでしまったり、相手に質問された事に対して、言い訳をして見当はずれな答えを話してしまうし、自分でも何をやっているんだと情けなくなります。

 ただ、悲観的にはあまりならずに、次こそ行動を変えるにはどうしたら良いか、もらったアドバイスを実行していきます。意識づけを改めてしています。メモを書く事、それを見直す事、棚上げの祈り、ステップ1の祈り。一日中意識することは難しいですが、思い出す頻度を増やすことで、身に付けていこうとしています。

 すぐに結果はでなくても、行動を変え続ける努力をする気持を持てるようになったのは、昔の惨めで苦しかった生き方のままこの先も生きていきたくないと思えるようになってきたからだし、自分の人生を生きていくんだという意識を持てるようになったからです。

 「本当の自分」を認めて受け入れていく為に、少しずつでも変わっていきます。

カテゴリー: 279号(2024年9月), ニューズレター パーマリンク