【NewsLetter158】薬物依存症のサル

 最近は他県の仲間と会うことが多くなりました。広島の仲間や鳥取・岡山・群馬の仲間などとても貴重な体験になっています。

 つい先日も鳥取・岡山・群馬ダルクの仲間とTCCプログラムを受けてきました。鳥取の仲間は何度か会っていたけれど、群馬の仲間は初めてだったのでとても楽しみでした。

 とにかくTCCはゲーム形式で楽しみながらやるものらしく、堅苦しい感じがなくリラックスして受けることができました。プリントを渡され絵文字のような顔が10個書いてあり、その中から薬を使っていた時の顔、今の顔を自分で決め、なぜその顔を選んだのか1人ずつ答えていきました。

 自分が印象に残ったのは、使っていた時の顔でした。自分が薬を使っていたころ、周りが思い通りにならず、怒りを通り越し、泣いていたのをはっきり思い出せたからです。このころのことを思い出すと具合が悪くなっていたけど、なぜかこのときはそんなこともあったなという事だけでした。

 その他にも危険信号のチェックもし、薬を使うずっと前から自分たちは危険信号が出ていて、それを気付かずにリラプスしてしまうということでした。自分がチェックしてみたら、半分以上が当てはまり、もう使うことはないと思っていたので、このときはかなりビビりました。

 仲間のことを評価し、自分も評価されるというものもしました。点数で表す、いたって単純なもので、でもはっきりと自分の評価がわかるものでした。

 自分に付けた点数と仲間が付けた点数の差を見るもので、自分は明らかにやってると思い込んでいました。それが現実らしく、もっと仲間のサポートをし、プログラムに集中しなければいけないと思いました。

 話は変わりますが10月12日に赤ちゃんが生まれました。

 予定日より2週間早い出産でした。その日は仲間と東光町にある教会の草刈りをしていて、妻からの電話に気付かず着信があったのでかけ直してみると、破水したと聞き、いよいよかと思いました。

 仲間と急いでダルクに戻り、チャリをとばして病院に向かいました。病院に着いてみると思ったより元気で、看護婦さんにも「今すぐ生まれるわけじゃないので大丈夫です」と言われたので一度ダルクに戻り仕事をし、トキさんと話していると彼女からの電話で陣痛が来たから急いで病院に来てくれと言われ、再びチャリをとばして病院に向かいました。

 病室から陣痛の部屋に移っていて、本当に苦しそうにしている妻を見たとき、自分はとんでもない重荷を背負わせてしまった気がしました。ただ手を握り、頑張れとしか言ってあげれず、妻から、「いいから助産婦さん呼んできて」と言われてしまい、ただ祈ることしかできませんでした。

 元気な子が生まれてきてくれればいいとずっと心の中で思っていました。分娩台に上がり、いざという時になって妻のことを見ていられずカーテンの後ろからしか立ち会うことができませんでした。

 ただ時折、妻が頑張っているのを見て、出産は命がけなんだと思いました。

 でも、先生たちもびっくりするくらいの安産で、分娩台に上がり30分くらいで生んでしまい、「え、もう」と思ったのと同時に、涙がボロボロ出てきました。

 2844gの元気な男の子で、大きな声で泣いていました。俺も泣いていたので、2人で泣いていて助産婦さんは大笑いでした。こんなに出産が感動するものとは思ってもいませんでした。

 約3年前に刑務所を出所し、九州に来て家族ができるとは思ってもいませんでした。あきらめかけていた時や、いろいろな相談にのってくれた仲間のおかげだと思います。

 これからは今以上に自分の行動を慎重にして、あきらめずもっと前向きにやっていきます。

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