【NewsLetter250】バースデーを迎えて バス

施設に来てから今日までで9年。9年というのは、生まれたばかりの赤ちゃんが9歳。小学校3年生になると思うとかなりの期間だと思いますが、そのくらい長くプログラムを受けています。

施設や環境、与えてもらっているプログラムや仲間のお蔭で、今の所は薬を使う事も無く、奇跡的にクリーンタイムが続いています。

9年も薬が止まったらすごく回復しているんだろうなとか、誰もが認めるような人としてやっているんだろうなと思っていましたが、実際の所はそう簡単でもないし甘くはないと、身に染みています。

ここ数年を振り返っても色々ありました。回復って何だろう、クリーンって何だろう、先行く仲間とは、自分自身の為とは一体どういう事か、今でも分かりません。やる気が出たり出なかったり、前に進んだり後ろに下がったり、時折止まってみたりもしました。

分からないなりにも学べた事は、自分の感情で動いていて、今も何一つ変わらないという事実でした。それでも、変わる事を選ばずに逃げていました。

毎年「今年こそは」その次の年も「今年こそは」その次の年も同じ事を言ってきました。いつか良い知らせがくるだろうと行動を起こす事はありませんでした。

現状に満足をしていないと言いつつも、本当に自分は変われるのか、成長するのかと疑ってもいました。

施設で役割をもらっている今、仲間のサポートや自分の事をやって、忙しくもないのに忙しい振りをしたり、役割の事で失敗や、報告や連絡の文章や言葉に抜けがあれば指摘を受けて、それでもまた言い訳をして怒られる。そんな日々をずっと続けています。

そうやって目の前の事に追われている方が自分の問題を見ずに済むし、自分で変わる事を選ぶ事よりもずっと楽だからです。

要するに逃げて来ました。そうやって自分の問題から逃げ続けてきた結果、何の解決にもつながりませんでした。もう自分自身誤魔化しがきかなくなっている事に気付いているし、このままでは社会でも通用しない事も薄々感じています。

自分の考えを使ってやっている事が、自分にとっていかにマイナスになっているか。今の自分に必要なのは認める作業、そして自分自身がずっと執着して来たものを手放す事。じゃなきゃ次のステージには行けない。

「恐れながらでも行動する事、それが本当の勇気だ。それならお前みたいな馬鹿でも出来る。」そういった事を先行く仲間が教えてくれました。

年数やクリーンは関係無く、今日一日は皆一緒で、「今日一日のベスト」の積み重ねが大切だとようやく思えるようになりました。

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【NewsLetter250】バースデーを迎えて イジケムシ

薬が止まって9年が経ちました。数か月前からダルクの役割にも復帰させてもらい、食事当番も自分の為に継続させてもらっています。

過去を振り返ってみると、人との深い関係を築いた事がありませんでした。他人や自分自身にも無関心なフリをして、人と深く関わる事を避けてきました。自分自身が傷付くのが怖かったからです。

内心では、何でも相談できる親友や親との関係に強い憧れがあったものの、1歩踏み出して自分の弱さをさらけ出す勇気はありませんでした。

今思えば、自分から勇気を出せば、心を開いて相談できただろうと思える人がいつも身近にいました。挫折や悩みを一人で抱え込めなくなり、逃げる様に薬を使いだしましたが、その頃の自分は、「自分なりに頑張って来たのに何で分ってもらえないんだ」と色々な人や物事を恨んできました。

自分の行動の事実だけを見ることが出来ず、独りよがりな、自分が真実だと思いたい事だけしか見ていませんでした。

その癖は今でも残っていて、施設の役割をやっている最中や、仲間からアドバイスされる時にも瞬間的に感情として表に出て来ます。本当に自分勝手だなと思います。

今は自分の行動を振り返り、少しずつ自分のそういう部分にも気付けるようになってきました。24時間仲間が身近にいてプログラムがあるという恵まれた環境の中で、今更ながら人間関係を勉強させてもらっています。

最近、自分の行動や考え方や感じ方が変わっていくのは楽しいと思うようになりました。昔はただ現状維持でいいやと思っていただけでした。自分にさえ不正直で、恨み言が多く常に何かのせいにし、頑なに自分の行動を変える事をせず、自分の問題と向き合う事を避けてきました。

変わる為に何をすればいいのかを考えるのも面倒くさかったし、新しい行動をするのも怖かったからです。しかしようやく、そういう自分を見た時に自分自身が情けなく感じたり、出来ない自分を悔しいと感じるようになってきました。

少し前ですが施設の役割を外されている間、毎日何をすればいいのか分らず、何か自分の為に考えて行動しなければと思って食事当番を始め、今でもそれを続けています。回復と成長のために何をすればいいのかを考えて来なかった自分には、行動するための大きなきっかけになりました。

その間も変わらずサポートしてくれた仲間やダルクに、今改めて感謝しています。今の自分を否定しない為にも、諦めず自分の回復にとってベストな選択をして新しい自分を見つけていきます。

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【NewsLetter249】3月の家族会/支援する会は中止

2022年3月の家族会と支援する会につきましては、福岡県の新型コロナ感染状況は減少傾向とはいえ、未だ数も多いため中止といたします。関係各位の皆様におかれましては、ご迷惑をお掛けいたしますが、よろしくお願いいたします。

次回の予定につきましては、次号ニュースレターにてお知らせいます。

ご連絡先
九州ダルク TEL/FAX 092-471-5140

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【NewsLetter249】DARCでこころ打たれた初めてのミーティング O教会Y神父

薬物依存症の方と初めて会ったのは、今か ら30年ほど前のことになる。当時は福岡教区の本部事務局に勤めていた。ある日、横浜の知人神父から電話があり、近々薬物依存のスマイルさんという方が訪ねていくと思うからよろしく頼む、ということだった。

当時は薬物依存症についてはまったくの無知で、当然、依存症の方とは会ったことはなかった。正直いって、会うのが少し怖い気もしていた。薬物というと、その時は覚醒剤のことしか思い浮かばなかったからだ。

スマイルさんが訪ねて来た。小机を挟んでソファーに座って向かい合い、話を聞いた。 机の上に置いた彼の手を見ると小指が無かった。その時も怖い気持ちがあったことは隠せない。

スマイルさんの訪問の目的は、九州で初めてのDARC(ダルク:薬物依存症者回復施設)を開設したいということだった。

事は不思議なくらいにスムーズに運んだ。今は新築された美野島司牧センターの中にダルクはあるのだが、当初は廃園となった幼稚園の建物を利用していた。その一室で毎日ミーティングが行われていた。

オープンミーティングに初めて参加した時の「感動」を今もはっきりと覚えている。この「感動」がダルクとの絆を作ってくれたと思う。

ダルクのメンバーにとってミーティングは命だ。彼らはミーティングで自分の経験や思いを語る。「新人」はまだ何も語ることができないほど弱っていたりするのだが、話すことができなくても、その場にいることが要求される。仲間の話を聞くうちに、自分も話せるようになっていくのだ。

話し始める時に必ず「薬物依存の○○です(アノニマスネームを言う)」というのだが、その言葉を初めて聞いた時、「これだ!」と思った。

自分も「罪人のMです」と堂々と言えたらどんなに楽になるのだろうかと思った。素直に、ありのままの自分を認め、受け入れることから人の再生は始まる。これが原点だ!と教えられた。

以来、美野島に行くのが楽しみになり、ダルクの仲間と一緒の空間にいてソファーに身を沈めることが「至福の時」となった。たまに「新しいメンバーさんですか」と言われたりしたが、その時も幸せな気分になったものだ。

今も教会で働いているが、教会のメンバーも「罪人:弱い者」と自認すれば、もっと素晴らしい仲間になれるのでは、と思っている。

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【NewsLetter249】ターニングポイント 道三

ダルクに入寮して2年が過ぎました。最近は、クロスバイクを買いました。街乗りしても気持ちが良く、NAに行くのにも自分のクロスバイクで行っています。

僕は2年前に刑務所から出所して一部執行猶予付きで来て、右も左も分からないままに生活が始まりました。今年の3月に一部執行猶予が切れ、2年間という縛りが切れた途端に、自分の考えや、やりたい事など何もかもが暴走し始めました。

自分を止めたくても止められないし、苦しみから早く逃げたかった。1人で何とかなる。そう思い始めました。

表向きは何となくプログラムを嫌々やっていました。この2年間は代表に相談しても、思うような相談ができなかったり、話をする事で前に進んでいるような気がしたりの繰り返しでした。

そうして施設を逃げ出した事は何度あるだろうか? 数える気にもなれません。それ程に、現実から逃げる事を選んで生きてきました。

それでは昔と何も変わっていないし、伸びるのはクリーンだけで、気持ち的にはきつい日々が続きました。時には仲間に当たり散らしたり、コントロールしたり、思い通りに行かない自分にイラついたりと色々あったなぁと思います。

3月になって立て続けに何度か施設を出て行きました。1人が好きで人の中にいるのが嫌で生きてきましたが、施設を出て行った時に思うのはいつも仲間の事でした。

不思議に思うのは、仲間の中に居て落ち着く自分です。そこが変わったのかもしれない。今は、これからどうするのかがとても気になっています。

答えばかり求めて、やることもやらないで、思い通りに行くわけが無いことが分かりました。素面の底つきというものがようやく分かりました。今は、今までとは違った「今日一日」を大切にしています。

これから進む道を代表と相談して、生き急ぐのは一度やめて、ハイヤーパワーに委ねる事にしてみようと思います。地元に帰らずに九州を選んだのは、新しい自分を見つけたいからです。

少し遠回りしてきましたが、もうこの辺で真剣に前を見つめていこうと決心がついたのも最近の事で、代表に言われた「俺たちは格好悪くていいんだよ」でした。この言葉がものすごく気に入っています。

僕は1人ではどうにもならないことを認めました。昔なら、どんな手を使ってでも1人でやってやる、なんてバカな考えがありましたが、今は人を信じられるようになりました。仲間たちのおかげでようやく目が覚めました。

格好悪くてもいい。今日1日を、大切にこれから生きていきたい。

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